12.オーダーシャツの適正価格と相場 (2025/12 現在)


今回は、皆さんが一番気になっているであろう「現在のオーダーシャツの価格相場」についてお話しします。
これは私の個人的な意見ではなく、業界全体の関係者にヒアリングを行い、原価やコスト構造から割り出した「提供者側から見たリアルな適正価格」です。

オーダーシャツの価格はどう決まるのか?
まず、オーダーシャツと聞いてどこを思い浮かべるでしょうか?
百貨店、セレクトショップ、私たちのような専門店、あるいは個人のテーラーなど様々です。
しかし、実は販売店が違っても、縫製している工場や工房は同じというケースが多々あります。

では、なぜ価格に違いが出るのでしょうか?

  • 生地のブランド・ランク
  • 縫製仕様(グレード)
  • 中間マージン・ブランド料・為替・関税
    特に「中間マージン」と聞くと悪いイメージを持たれるかもしれませんが、これは百貨店などが保証する「信用料(のれん代)」とお考えください。これらが積み重なり、価格が形成されます。

ズバリ、現在の適正価格は?
業界の人間として推奨する適正価格帯は以下の通りです。

  1. フルオーダーシャツ(王道):25,000円〜35,000円
    しっかりとした生地と縫製で作る、最も標準的で王道のゾーンです。少し前までは2万円台前半が相場でしたが、現在はこれくらいが目安です。この価格帯であれば、間違いのない品質のシャツが手に入ります。
  2. カスタムオーダー(パターンオーダー):15,000円〜25,000円
    フルオーダーまでの仕様を求めない場合、この価格帯が適正です。ネット通販などで国産でない場合はさらに安くなりますが、それも適正の範囲内と言えます。逆にこれより高い場合は、ブランド料が含まれているとお考えください。
  3. 超高級ゾーン:45,000円〜75,000円
    最高級の生地や特別な仕様を用いた場合、この価格帯までは適正と言えます。

    注意すべき「8万円の壁」
    ここで注意喚起をさせていただきます。
    もし、シャツ1枚に80,000円前後以上の価格がついている場合、そこには生地や縫製のクオリティ以上の「何か」が含まれています。
    多くの場合、それは実態の伴わないブランド料や、SNS映えを狙った過剰なパフォーマンス料であるケースが散見されます。
    また、無駄や、実際には意味の無い工夫や加工、を謳っているところもあります。
    本当に見る目のある方は、それが本物かどうかを見抜けますので、お客様自体も試されているとお考え下さい。

    お洒落を楽しむすべての方へ、この業界のプロが、ほぼ全員推奨する価格帯は「15,000円〜35,000円」です。
    カルロリーバなど本当に価値のある生地などでしたら現在の貨幣価値なら上限7万円台です。
    これ以上の価格については、純粋なモノの価値というよりは、ブランドのファンとしての出費や、自己満足の世界(不確実なブランド料)、言葉はきつめですが、経験料(失敗料)だと思ってください。
    否定はしませんが、その点を理解した上での「自己責任」でのオーダーをお勧めします。