さて、本当に良いシャツとはどんなシャツでしょうか。これには諸説ありますが、やはりバランスだと私は思っています。
その方がとにかくデザイン、もしくは着心地、もしくはブランド力を重視するのであれば、それだけに特化して集中していただいても問題ありません。
しかし、普通のシャツ好きの方からすれば、そこまで着心地やブランド力にこだわる必要はないかと思います。
私はこの本で、そういった方に良いシャツの見分け方をアドバイスできればと思い執筆しています。
良いシャツとは、価格、生地の質、縫製の質、耐久性、サイズ感、利便性、そういったものがバランスよく備わっているシャツだと思います。
シャツに関しては何事もそうですが、高いシャツだから耐久性が高いというわけではありません。全く逆で、高いシャツほど耐久性が弱かったりします。
耐久性と肌触りの良さなどをバランスよく備えたシャツというのは、多くの場合、糸の番手で100番から120番、生地の種類によっては80番の生地でできたシャツが最もバランスが良いと一般的に認識されているように感じます。
この糸の番手というシャツの価値を表す数値は、近年とても注目されるようになりました。
これは実際には何を指す数値なのでしょうか。
実は糸の番手とは、生地を作る綿や麻などの繊維1本1本の細さを表します。
この数値が高ければ高いほど糸が細くなります。
通常、市販されているシャツの番手は多くが40番くらいです。
それに対し、少し良いもの、一般的に良いと言われるものは80番から100番、高級品と言われるシャツで120番から140番、超高級品になると160番から200番くらいまであります。
140番を超える生地は嗜好品とされ、ハイエンドユーザーが自分の楽しみのために集めるようなシャツです。実用的かと言えば、その分薄くなり、決して実用品とは言いがたいです。
普段シャツに詳しくない方が、ある程度価格の高いシャツを着てみたいという場合、まず間違いなくおすすめするのは80番から100番の生地です。
シャツは、糸の番手が高ければ高いほど、縫製も凝った作りになるという傾向があります。
番手の高い生地で安物のような縫製がされることはまずありません。必ずと言っていいほど、番手が高くなれば高くなるほど手間暇かけて縫製されます。それは生地自体の価格が番手が上がれば高くなるからです。
逆に言うと、生地が安くなれば縫製もその分簡単な仕様になる傾向があります。これは食材などにも同じことが言えます。最高級の食材を調理するには、その分手間暇をかけるのと同じです。
