10.シャツ生地の素材について

シャツ生地のお話をするときには、まずは素材についてお話ししなければなりません。

シャツ生地の代表的な素材には、綿、麻、衣、毛の4大天然素材があり、さらにはポリエステルなどの化学繊維があります。またごく一部ですが、ナイロンや、ストレッチ素材にはポリウレタンが入っていることがあります。

この素材によってシャツ自体の表情が大きく変わってきます。

シャツ生地で、最も代表的なのは綿です。綿は保水性が高く、洗えるため、便利で着心地も良く、吸水性に富み、最もシャツに適した素材と言えると思います。

この綿の次に多いのが麻です。

夏の暑いときに綿ですと通気性がそこまで良くはなく、やはり涼しい麻という素材が非常に好まれます。

麻と綿の違いは、麻は繊維が荒いので普通に織り上げただけでも通気性が良く、また多少の毛足があるので肌に触れる面積が綿よりも空気を含み、また肌に触れたときに冷たくひんやりとする特徴があります。

そのため、夏生地として重宝されています。

この綿・麻の次に多いのはポリエステルです。もしかしたら麻よりもポリエステルの方が多いかもしれません。

ポリエステルの特徴は水分を通さない、保水性が非常に低いことです。また再現性が高く、要はシワになりにくいという特徴を持っています。このシワになりにくく、水を含みにくいというのは、時にシャツの生地としては向く部分もあり、向かない部分もあります。

またその次に毛も一部使われています。この毛という素材は暖かい素材なので、秋から冬にかけて重宝される生地の一つでもあります。

そして最後は絹です。シルクは元々光沢があり、肌触りが良く、シャツにとっては最も高価な素材でもあります。

しかし、現実的に耐久性が弱かったり、扱いが非常に難しいので、あまり着られることはありません。しかし、デザインや光沢など、シャツ生地としては究極の生地なので、綿でも高級なものはシルクに似せて作って、どこまでシルクに近づけるかということを日々競っている状況です。

ちなみに生地の中にはシルキー加工やシルケット加工などという言葉があり、要は「シルクのような」という表現がされます。良い生地、または生地のメーカーからするとシルクに近いということは非常に売り文句になります。

以上が代表的なシャツ生地の素材になります。この素材を使って織り上げる、または混紡して織り上げ、その生地を裁断して縫製して、シャツは出来上がるわけです。

シャツ生地の代表は何といっても綿です。綿があって綿でできないものが他の素材で補うというイメージを持っていただけると正解かと思います。

中心は綿があり、その周囲に他の素材があると思っていただければ間違いないと思います。

さてその中心である綿ですが、産地や生産方法によって品質が異なり、良い綿は高い価値を生み出します。この綿という素材は、綿花から、綿花の種子の周りにつく綿から作られます。この綿花という植物は、気温の温暖な環境に適していて、また昼間と夜の温度の違いなどで良い綿が取れたり、良くない綿になったりします。良い綿というのは、基本的になめらかで柔らかい綿になります。また綿が白ければ白いほど価値が高いと言われています。