さて、前回はシャツの生地についてお話ししましたが、今回は「シャツの大まかなデザイン」についてお話ししたいと思います。 現代のシャツには、大きく分けて2つの役割(性格)があります。 一つはスーツなどの下に「インナーウェア」として着る役割、もう一つはシャツ1枚で「アウター」代わりに着るという役割です。
インナーとして着る場合、主にスーツやジャケットの下に着用しますが、ここでのシャツはあくまでも「アンダーウェア(肌着)」としての役割が強く、スーツやジャケットを皮脂や汗で汚さないために着られます。 同時に、肌触り良く、快適に過ごせるような着心地の良さも求められます。
それに対しアウターとして着る場合、夏場に1枚で着たり、春秋にTシャツなどの上に羽織ったりと、多くの場合は裾を出して(タックアウトして)着ることになるかと思います。
さらにインナーとして着る場合にも、ネクタイを締めて着る場合と、ネクタイをせずに着る場合の2種類があります。 この着用スタイルの違いによって、シャツは「タイドアップ用(ネクタイあり)」と「アンタイド用(ネクタイなし)」というカテゴリに分けられます。 もちろん、その両方のシーンに対応できる万能なシャツも数多く存在します。
このようにシャツは、用途によって大きく性格が分かれています。 では、スーツの下に着る「ネクタイをするシャツ」と「しないシャツ」では、シャツ自体の構造に何か違いはあるのでしょうか? 基本構造はほとんど変わりませんが、ネクタイをしなくても襟元がだらしなく見えない工夫や、襟が綺麗に立つ、あるいはクラシックなシャツのように襟が美しく寝るといった、首元の見え方に対する工夫が必要になります。
シャツの「性格」の違いによってデザインが分かれることを覚えておいていただけると、シャツ選びの視点がかわり、新たな発見があると思います。
