前回まで、糸の番手という数字について書きました。
生地を構成する原糸、その細さによって、生地の薄さなどが変わり、そして価値が決まるということについて書いてみました。
糸の番手によって、生地の価値が決まり、おおよその価格が決まるというのは事実です。
ただ、生地には本来、服として出来上がったときに、その意味があり、
「どのような服になるか?」
「そのために原材料として、どんな生地が良いのか?」
そこから逆算して、原材料である生地は作られているものです。
つまり、生地には、それぞれおおよその方向性というのが、最初から想定されているのです。
オフィスでの仕事着としては、このくらいの生地の厚みで、このくらいの織密度で、こんな織り方で、こんな色合いで等、、、
普段着として、こんな生地で、こんなシャツを作って、などなど、生地のデザイナーには、想定している最終形がイメージとしてあります。
そこで生地を形成する原糸の太さというのも、用途の想定から決定されます。
要は、糸の番手には、シャツの用途として、最適な番手というのものが存在します。
一般的に、普通にお仕事で着るシャツは、40番単糸から120番双糸くらいが耐久性も考えますとベストだと言われています。
パーティーやフォーマルの正装では、120番双糸から、200番双糸が好まれます。
以下に番手の本来の用途をまとめてみました。
(番手の用途)
- 30/1・・・シャツのぎりぎりのラインになります。ちょっと肌ストレスは大きいと思います。
- 40/1・・・普通の量販店の若干安価な既製品に多くある、普通の番手です。
- 50/1・・・おしゃれなブランド品などでも多く見られる、シャツの最も一般的な番手です。
- 60/1・・・サテン地などに多くある番手です。肌触りが良い感じです。
- 80/2・・・40/1と同じ太さになります。ちょっと良い品質のお店で扱われています。やや着心地が良い感じです。そのほか、ピンポイントオックスの定番的な番手です。
- 100/2・・・50/1と同じ太さになります。ドレスシャツのエントリー的な位置づけで、生地のデザインも最も多く存在する番手です。耐久性もよく、最もバランスの取れた番手です。
- 120/2・・・60/1と同じ太さになります。120番から、付加価値の高いドレスシャツとなります。耐久性も100番ほどではありませんが良く、見た目もぐんとよくなり、100/2に並び、バランスの取れた番手です。
- 140/2・・・140/2以上は、プレミアムなシャツに用いられます。付加価値の非常に高い生地になります。普段着としては、耐久性はぎりぎりといった感じです。
- 160/2~・・・最上級の生地になります。フォーマルや、アイテムとしてシャツを所有するためのゾーンになります。
- 300/2・・・現存の生地の最高番手が300/2です。まさにシルクのようで、存在はしますが、シルク同様、使用には決して向かないと思います。