9.シャツの大部分を決める生地について

ここまでシャツの魅力や基礎知識についてお伝えしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

さて、ここからは「シャツのデザイン」について触れていきたいと思います。 実は、シャツのデザインを決める上で最も重要なのが「生地選び」です。

一口に生地といっても、そこには数えきれないほどの要素が詰まっています。今回はその中でも「これだけは押さえておきたい」というポイントに絞ってお話しします。

シャツは直接肌に触れる衣類ですので、肌触りや質感が非常に重要です。 触れた瞬間の「温かさ」や「冷たさ」によって夏用・冬用が分かれますし、素材も綿や麻といった「天然繊維」から、ポリエステルのような「化学繊維」まで多岐にわたります。

生地選びの基準となる要素をざっと挙げるだけでも、これだけあります。 素材、糸の太さ(番手)、織り方、色柄、体感温度、着用感、軽さ、ケアのしやすさ、通気性、価格、そして見た目の美しさ……。

これほど多くの要素(価値基準)が一枚の布に凝縮されている衣類は、おそらくシャツ以外にはないでしょう。 シャツは構造こそシンプルですが、制約があるからこそ非常に奥深い世界なのです。

すべての要素を一度に掘り下げると長くなってしまいますので、次回以降、皆さんにぜひ知っておいていただきたいポイントを厳選して解説していきます。