今回は芯地の素材に関して書いてみたいと思います。
シャツの芯地については、素材的には綿とポリエステルの2つが主に使われます。
綿の素材の場合、天然素材ですので、基本柔らかく、厚みは比較的出せますが、硬さには限界があります。
表生地にもなじみますので、芯地が極端に縮むなどのトラブルも、ほとんどございません。
使いやすい芯地ですが、多少コストが高く、値段が高い傾向があります。
綿素材の芯地は基本的に柔らかく、薄くも厚くも出来ますので、クラシカルなシャツやドレスシャツ、カジュアルシャツには向いています。
肌触りも良く、柔らかい質感は、自然派のシャツを好む、ハイエンドユーザーに好まれる傾向がございます。
ただ、強度と硬さという意味ではポリエステルほどの強度は出すことができません。
それに対しポリエステル芯地は強度や硬さを出すことができますが、反対に柔らかさや、なじみやすさを出すことは難しくなります。
また、厚みに関してはそれほど出せないのが普通です。
コスト的には綿よりも安いですが、その分、縮みなどのトラブルも多く、高級なシャツでは、ほとんどそのままでは使われないのが現状です。
ただ、パリッとした襟やカフスを作るためには、芯地にポリエステル素材を使わないと出来ないので、ビジネスユースのネクタイをピシッとさせたいという方には向いていると思います。
ヘビーユーズのビジネスシャツでは、ポリエステルの芯地も良いと思います。
そして、さらに綿とポリエステルの混紡の芯地もございます。
シャツの芯地に関しては、混紡が一番使われているかも知れません。
柔らかさ、厚み、硬さ、強度、それらをバランス良く作るためには、この両素材を上手く組み合わせる必要がございます。
両方を混紡して、お互いの長所を引き出した良い芯地を使えば、シャツも自然と良くなります。
現在の日本のドレスシャツなどは、この混紡の芯地を各社よく使用されているようです。
一番バランスが良い芯地を作ろうとしますと、この混紡が最適なようです。
最後に、これらの芯地も、実は、単糸、双糸の区別があります。
番手もあり、通常、20番などの番手になるようです。
単糸の芯地は柔らかく、なじみやすく、双糸の芯地は、単糸よりも硬く、しっかりとした感じになります。
芯地に関しては、シャツの中に入る素材なので、肌に触れることが無く、用途によって単糸と双糸の違いがあるだけで、価値として、どちらが良いとかではありません。
この芯地の素材感、明白にシャツに現れるのは、「硬さ」「厚み」「強度」です。
その点、覚えておくと、「ああ、これは芯地が綿素材だな、」とか分かるようになると思います。
(写真は、シャツで芯地を使う部分と、その部分に最適な芯地、箇所によって、薄さ、硬さ、素材が少しづつ変わる)